「木や土壁は呼吸する」って、
生物じゃないのに変だと思いませんか

私たちが家づくりに使う材料は、木や土、紙、草といった日本古来の自然素材(森びとの会の家づくり)が多くを占めています。その理由は、① 人体に悪影響を与えないことが数百年にわたって証明されている ② 廃棄後は生分解される(土に戻る) ③ 日本の気候風土に合っている。

③ をもう少し詳しく説明しましょう。

日本の気候の特徴は、ほとんどの地域で悩まされている夏の蒸し暑さです。気温が高くても空気が乾燥していると涼しく感じるように、夏を快適に過ごすためには湿度のコントロールが欠かせません。

木や土、紙、草など、日本で昔から使われてきた家の素材を顕微鏡で見ると、小さな孔がたくさん開いた多孔質構造をしていることがわかります。この小さな孔は、湿度が高い時には空気中の水蒸気を蓄え、湿度が下がると放出します。

わかりやすい例を挙げると、夏場、塩ビのクッションフロアに素足で乗ると、足の裏がベタベタします。一方、無垢のフローリングはサラッとして気持よく感じます。これは、木の表面の小さな孔が瞬時に人体から発散される水蒸気を吸ってくれるため。多孔質構造をしていないクッションフロアは、いつまでも表面に水蒸気が残ります。

これが、木や土壁が呼吸していると言われる理由です。でも、いきなり木や土が呼吸していると言われて違和感がありませんか。

自然素材は、これまでその性能を曖昧な言葉で語られることがしばしばありました。たとえば土壁は蓄熱性能には優れていますが、断熱性能はさほどではありません。でも、両方を一緒くたにして、暖かいとか言います。

私たちは、こういうアバウトさを避けて、できるだけ正確な言葉で自然素材の性能を説明していきたいと思います。場合によっては実験のデータを取り、分析する必要もあるでしょう。

こうしたことを1社で行うのは難しいかもしれません。でも、「森びとの会」として取り組むことで、自然素材のよさを科学的に証明することは可能になるのです。

自然素材の家といっても、昔のままではありません

江戸時代ならいざ知らず、木と土と紙でできた家の中で震えて暮らすなんて、ありえない話です。

たとえば、小舞という竹を編んだ下地に土を塗る本格的な土壁の仕様でも、その外側に杉の樹皮でできた自然素材の断熱材を張っています。外周りの開口部に木製の建具を使う時も、ガラスを複層にして熱損失を減らし、パッキンを入れてある程度の気密性を保てるようにしています。また、暖房もエアコンのように空気を暖めるのではなく、放射熱で壁・床・天井をジンワリ暖める薪ストーブを提案するなど、家の暖かさをトータルに考えています。

夏の暑さ対策は、敷地の年間の風向きや風速を計算し、住まいの中に風の通り道をつくります。窓の配置もとても大事です。陽射しを遮る植栽計画をすることもあります。

今の家づくりは、空調設備に頼ったり、高断熱・高気密住宅にするなど、ひとつのことですべてを解決しようとします。そういうやり方は往々にして、人体の心地よさよりも数値を基準に快適性を判断しがちです。

自然素材は、それだけでは完璧な性能を発揮するわけではありません。また、私たちの家づくりは合板を使いませんから、気密性を極めることもできません。それでも、「自然素材の家だから仕方ない」とは言いたくないのです。今ある技術を足し算して、現代の住まいに必要な性能を確保しています。

耐震性に関しても、同様のことが言えます。昔ながらの木の家は、大工さんの経験と勘に頼ってつくられてきました。しかし、それでは科学的な根拠に基づいた安全性を説明できません。かといって、金物でガチガチに固める現代的な工法が、木という材料に相応しいとは、私たちには思えないのです。私たちは構造の専門家のサポートを受け、また自分たちでもバランスの良い壁の配置や構造材の大きさや接合方法などの研究を重ねています。

自然素材を使いながら、表に挙げたような今の住まいに要求される性能を満たすのが、「森びとの会」の家づくりです。

家の性能を評価する方法

評価方法 概要
住宅性能表示制度 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく制度で、平成12年10月から運用が開始されています。これから建てられる住まいが安心できる性能を持っているか、また、それが適切に施工されたかをわかりやすく示します。「構造の安定」「火災時の安全」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境」「空気環境」「光・視環境」「音環境」「高齢者等への配慮」「防犯対策」の10項目で性能を示します。
住宅瑕疵担保履行法 平成21年10月から、工務店は住宅に瑕疵(欠陥)があった場合に補修などを行う資力を確保するため、保証金の供託か保険への加入が義務付けられました。瑕疵担保責任の対象となる範囲は「構造耐力上主要な部分」と、「雨水の侵入を防止する部分」です。「構造耐力上主要な部分」は、基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・筋かいや方づえなどの斜材・床版・屋根版または横架材。「雨水の侵入を防止する部分」は、① 住宅の屋根もしくは外壁またはこれらの開口部に設ける戸、枠、その他の建具 ② 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分。
CASBEE-すまい
(戸建)
「CASBEE」とは、建築物をその環境性能で評価し、格付けする手法です。① 省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面と、② 室内の快適性や景観への配慮といった環境品質・性能の向上の側面から、建築物の環境性能を総合的に評価します。
自立循環型住宅 気候や敷地特性など立地条件と住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用した上で、建物と設備機器の選択に注意を払うことによって居住性や利便性の水準を向上させつつ、居住時のエネルギー消費量(CO2排出量)を2000年頃の標準的な住宅と比較して50%にまで削減可能で、2010年までに十分実用化できる住宅のことをいいます。設計には、「自然風の利用」や「断熱外皮計画」など、13の省エネルギー要素技術を活用します。